2021年7月〜10月 チュードアが電子音楽スタジオを設立したインド国立デザイン研究所が、自らの歴史を振り返る一連の国際学会を主催し、中井、ジュリー・マーティンなどが発表する。
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日付:2021年7月〜10月
小咄:
半世紀前にインドで繰り広げられたE.A.T.の活動を振り返るため、世界各地から関わりのある活動をしているアーティストや研究者が集い、隔週の金曜日に発表セッションを行なった。とりわけ議論が白熱したのは、インドにおけるE.A.T.の活動を、ロックフェラー財団など資金の出どころから、滞在したアメリカのアーティストたちの心情までを細かく辿りながら、相互交流というより一方的な思いの押しつけだったと批判的に描写した東アジア文化研究家アレクサンダー・キーフの発表の直後である。ジュリー・マーティンが実際にプロジェクトを動かした立場からいくつかの事実関係の誤りを正したあと、現在NIDに通っている若い学生がアメリカ側の思惑とは裏腹に、E.A.T.の活動が忘れられつつあるように見える近年のNIDの動向を嘆きながら、見失われた伝統との接点を浮かび上がらせることの重要性を熱弁した。ただし、ギータとケージの交流の副産物として形成されていった伝統が一枚岩ではないのと同じように、その伝統の連続性を保証するはずのアーカイブもまた分裂を抱えている。アーメダバードにおけるE.A.T.の活動に関する関連資料の多くは、ロサンゼルスのゲッティー・センターなどアメリカに保管されている。だからNIDの学生が母校の伝統を遡ろうとすれば、かつてのギータと同じくアメリカに赴くしかない。さらには、アーメダバードも一枚岩ではない。ギータのアメリカ行きを支えたサラバイ家であれば、自分たちが設立したNIDの学生向けに留学を援助するプログラムを立ち上げそうなものだが、残念ながら70年代半ばに仲違いして以来、ギータの家族と研究所の間にはずっと確執が続いている。そのため、NIDのアーカイブ機関はサラバイ家の保管する資料にアクセスすることができていない。ディスカッションでは、この問題を解決するため、その交流と確執の歴史の外部にいる外国人がサラバイ家にアプローチするのが一番良いという暫定的な結論にいたる。
場所:
#インド
#アーメダバード
関係者:
#デーヴィッド・チュードア
#サラバイ家
#Experiments_in_Art_and_Technology_(E.A.T.)
#ジュリー・マーティン
#中井悠
#タイプ:出来事_SIDE-B
#2021年